理事長のひとこと 2017年12月
2017年12月27日

人は「幸せになりたい」と願って暮らしています。

人は「幸せになってほしい」という願いを受けて生まれてきました。

今月の「幸せのレシピ」をご紹介します。

カズオ・イシグロ氏がノーベル文学賞を受賞したニュースを知って「わたしたちが孤児だったころ」という小説を読んでみましたので、そのあらすじをご紹介します。

主人公は子どもの頃に上海のイギリス租界で両親とくらしていたのですが、両親が突然、行方不明となり親類を頼ってイギリスに渡り、寄宿舎で暮らすことになります。環境の変化に十分に溶け込む演技をしながらも、子どもの頃からあこがれていた探偵となり社交界でも名前が知られるようになります。力をつけた主人公は、再び上海に戻り両親をさがし始めるのですが、過去の出来事を知ることになります。これ以上は、この小説を読む楽しみを減らしてしまいかねないので止めておきますが、両親が行方不明となった本当の事実を知った時に、主人公は母親に愛されていたことに、そして母親に守られていたことに深く感じ入ることになります。「人は誰かに愛されてきたという実感が大切なのだ」と思いました。

まわりに上手に適応して暮らしていたとしても、「誰かに愛されていた実感」がなければ、心のどこかに空虚なものを感じてしまい、その空虚感を埋めるために「誰かに愛されている実感」を求めてしまうものなのでしょう。つまりは、その空虚感がある限り、人は誰でも孤児と同じような心情を持つ存在であると言うこともでき、この小説が普遍的なテーマを描こうとしていることが読みとれます。

福祉の実践現場において、ご利用者が「自分は誰かに愛されてきた」と感じ取ってくれることをめざした支援を心がけていきたいと思うのでした。そして私自身も「誰かに愛されてきた実感」を抱いて生きていきたことに感謝の気持ちが湧いてくるのでした。

これまでにご紹介した幸せのレシピ

レシピ1:できないことがあってもまわりが変わると幸せに近づけます。
レシピ2:その人を理解していく努力が幸せへのステップです。
レシピ3:出来ないことからではなく、出来ることから幸せづくりを始めましょう。
レシピ4:現実と向き合うことから、幸せづくりが始まります。
レシピ5:期待し続けることが幸せをめざす切符。
レシピ6:理解してもらおうとする努力が幸せへのステップです。
レシピ7:誰かに愛されている実感が幸せを感じるためには必要なのです。

社会福祉法人白峰福祉会
理事長 森 公男